暑さがゆるんできた9月。お散歩や公園遊びでお出かけの機会が増えて、抱っこ紐で歩く時間も、ベビーカーを段差で持ち上げる回数も、ぐっと増えていませんか。気づけば肩と背中がガチガチ、首を回すとゴリゴリと音がする——。それでも夜は同じ向きで授乳や添い寝が続き、体を休める時間はなかなか取れない。「これは産後だから仕方ない」と我慢してこられた方こそ、この季節の変わり目は体からのサインが出やすいタイミングです。今日は、産後のママの肩こりへの向き合い方を東洋医学の視点からお伝えします。
抱っこ紐とベビーカーで固まる肩甲骨まわり ― 産後の肩こりが9月に出やすい理由

抱っこ紐で赤ちゃんを支える姿勢は、肩が前に巻き込まれ、背中が丸くなる猫背姿勢になりやすいものです。10kg近い重さを一日に何度も抱き上げれば、肩甲骨まわりの筋肉は縮んだまま固まってしまいます。さらにベビーカーの持ち上げは、腕だけでなく背中から腰まで一気に負担がかかる動作。9月は外出のハードルが下がる分、この積み重ねが一気に増えるのです。
東洋医学では、首から肩、背中にかけては膀胱経(ぼうこうけい)や胆経(たんけい)という「経絡(けいらく)」——気血の流れる道筋——が通っています。同じ姿勢が続くとこの流れが滞り、「気滞(きたい)」という状態に。滞ったところは重く、こわばり、押すと痛む。これがいわゆる肩こりの正体のひとつです。
また9月は朝晩の気温差が大きく、体温を調整する自律神経に負担がかかる時期。自律神経が乱れると筋肉の緊張も抜けにくくなり、同じ量の抱っこでも疲れやすさが違ってきます。「夏より涼しいのに、なぜか肩がつらい」という感覚は、決して気のせいではありません。東洋医学の未病治(みびょうち)——病気になる前の段階で整える——という考え方では、こうした「まだ痛みほどではないこわばり」こそ、手をかけるべきサインと捉えます。
夜の授乳・添い寝と寝不足が招く「気血の消耗」と猫背姿勢

日中の抱っこに加えて、夜は同じ向きでの授乳、そのまま添い寝。片側の肩を下にした姿勢が数時間続けば、肩甲骨まわりの血流は滞り、朝起きたときには首が回らない、ということも起こります。寝不足で睡眠が細かく分断されると、本来なら夜間にゆるむはずの筋肉の緊張がリセットされないまま朝を迎えることになります。
東洋医学では、産後の体を「気血(きけつ)が消耗した状態」と捉えます。出産と授乳で血を多く使い、育児で気(エネルギー)を使い続ける。特に40代での育児は、体力の回復スピードがご自身の想像と合わず、そのギャップに戸惑う方が本当に多いのです。気血が不足すると筋肉に十分な栄養が届かず、こりが取れにくくなる。同時に「肝(かん)」の働きも滞りやすく、イライラしやすい、目が疲れる、寝つけないといった症状が重なることもあります。
私自身、かつて自律神経の乱れと不眠に悩み、鍼灸で少しずつ整えていった経験があります。眠れないことのつらさは、単なる「疲れ」ではなく、心の余裕まで削っていくものだと身をもって知っています。産後のママが「肩が痛い」とおっしゃるとき、その背景には寝不足や気の張り詰めが必ず隠れている。だからこそ肩だけを揉むのではなく、全身のバランスから見ていく必要があるのです。
おうちでできるセルフケアと、鍼灸でできること
まずご自宅で試していただきたいのが、肩井(けんせい)というツボ。首の付け根と肩先の中間、肩のいちばん高いところにあります。抱っこ紐でこわばる部分そのものなので、指の腹でゆっくり押して、息を吐きながらゆるめてみてください。もうひとつは膏肓(こうこう)——肩甲骨の内側のくぼみです。自分では届きにくいので、丸めたタオルを床に置き、その上に肩甲骨の内側を当てて仰向けになるだけでも、じんわりゆるみます。
動きとしては、肩甲骨まわりを大きく回すこと。両手を肩に置き、肘で大きな円を描くように前後10回。1日1分でも、縮んだままの筋肉に「動いていい」と思い出させる意味があります。猫背姿勢の改善は、鍛えるより先に「胸を開く」ことから。
産後の鍼灸では、肩や背中への施術だけでなく、気血を補うツボや自律神経のバランスを整えるアプローチを組み合わせていきます。当院では鍼・お灸・整体をお一人おひとりの状態に合わせて調整。「鍼は怖い」という方には、まずお灸と整体からという選択も可能です。高円寺で子育て中のママにも通っていただけるよう、お子様連れも歓迎しています。完全個室ですので、ベビーカーのまま入っていただいて大丈夫。泣いても気にせず、どうぞ安心してお越しください。
この記事を書いた人

成谷茂樹(なりや しげき)
はり師・きゅう師・柔道整復師(いずれも国家資格)
はり処 悠禅 院長。自身も自律神経の乱れと不眠を鍼灸で改善した経験から、お一人おひとりに寄り添うオーダーメイド施術を行っています。
まとめ
9月の外出増加、抱っこ紐とベビーカーの負担、そして寝不足。産後の肩こりは複数の要因が重なって起こります。「まだ痛みじゃないから」と放っておかず、こわばりの段階で整えることが未病治の考え方です。肩甲骨まわりをゆるめ、気血を補い、自律神経のバランスを整えていきましょう。
はり処 悠禅は高円寺駅徒歩1分、22時まで営業の完全個室・完全予約制の鍼灸院です。お子様とご一緒でも、寝かしつけ後の遅い時間でも大丈夫。ご自身の体を後回しにしてきた方こそ、まずはお気軽にご相談ください。



コメント