「久しぶりにフットサルに参加したら、二日たっても脚が重い」「秋のマラソン大会に向けて走り込みを始めたのに、ふくらはぎの張りが抜けない」。9月に入ってから、こうしたご相談が増えてきます。涼しくなって体を動かしやすくなる一方で、日中はまだ汗をかくほどの残暑、朝晩はぐっと冷える——この気温差の大きい時期は、実は疲労が抜けにくい季節でもあります。今回は、スポーツを再開した方に向けて、9月ならではの整え方をお伝えします。
9月の脚の重さは「残暑の汗」と「朝晩の冷え」の板挟みから

9月の体は、かなり忙しい状態にあります。日中は残暑で汗をかき、体は水分とミネラルを失います。ところが夜になると気温が下がり、汗で冷えた体はさらに熱を奪われます。体温調節を担っているのは自律神経ですから、一日のうちに何度も「冷やす」「温める」を切り替える9月は、自律神経にとって負担の大きい時期なのです。
自律神経が疲れてくると、血管の収縮・拡張の調整もうまくいきにくくなります。運動でダメージを受けた筋肉には、修復のために血流が必要ですが、その血流が滞れば老廃物も残りやすい。結果として、翌日以降も抜けない脚の重さやふくらはぎの張りとして感じられます。「去年と同じくらい走ったのに、今年はやたら疲れる」という感覚には、こうした季節要因も関わっています。
東洋医学では、この時期を「長夏から秋への移り変わり」と捉えます。夏に消耗した気(エネルギー)が回復しきる前に秋の乾燥と冷えが入ってくるため、いわば貯金が少ない状態で新しい支出をしているようなもの。ここで無理を重ねると、痛みや不調としてはっきり現れる前の段階、いわゆる「未病」の状態が長引きやすくなります。まだ症状が軽い今のうちに整えることが、秋のシーズンを気持ちよく走り切る土台になります。
練習後のクールダウンを見直す ― ふくらはぎの張りを翌日に持ち込まない

疲労回復を左右するのは、実は運動そのものよりその後の30分〜数時間の過ごし方です。9月に多い「誤ったケア」の代表は、汗をかいたまま冷たい飲み物を一気に飲み、冷房の効いた部屋でそのまま座り込んでしまうパターン。急激に体を冷やすと筋肉は縮こまり、血流が落ちて張りが残りやすくなります。
おすすめしたい流れは、①走り終えたらすぐに止まらず5〜10分ゆっくり歩く、②ふくらはぎ・太もも裏・股関節まわりを1か所20〜30秒ずつ、呼吸を止めずに伸ばす、③常温または温かい飲み物で水分とミネラルを補う、④帰宅後はシャワーだけで済ませず、可能ならぬるめの湯に10分程度浸かる、という順序です。汗をかいた日ほど「冷やす」より「巡らせる」を意識してみてください。
セルフケアでは、承山(しょうざん)というツボが役立ちます。ふくらはぎの中央、アキレス腱から筋肉の膨らみに向かってたどり、へこみを感じるあたりです。脚の疲れや張り、だるさに用いられる代表的なツボで、親指でゆっくり5秒押して離すのを数回。もう一つ、内くるぶしの上から指4本分にある三陰交(さんいんこう)は、下半身の冷えや水分代謝の停滞に使われるツボです。就寝前に温めるだけでも、脚のこもった重さがやわらぐことが期待できます。強く揉みほぐすより、じんわり温める・押さえるほうがこの時期には向いています。
東洋医学で考える疲労回復 ― 肝・腎をいたわり、経絡の流れを整える
東洋医学では、筋肉や腱の状態は「肝(かん)」と深く関わると考えます。肝は血を蓄え、筋の柔軟性を保つ役割を担うとされ、ここが疲れると筋のこわばりやけいれん、目の疲れ、イライラとして現れやすくなります。デスクワークで目を使い、夜に走り込み、睡眠を削る——という生活は、肝に負担がかかりやすい典型です。
もう一つ大切なのが「腎(じん)」。腎は生命エネルギーの貯蔵庫であり、骨や下半身の力を支えるとされます。腎は冷えを嫌うため、朝晩の冷え込みが始まる9月は特に注意が必要です。腰やお尻まわりが冷えると、脚に向かう経絡(気血の通り道)の流れも滞りやすくなります。ランニング後に腰が張る、脚の付け根が動きづらい、という方は、ふくらはぎだけでなく骨盤まわりから整える視点が有効です。
鍼灸では、こうした局所の張りと全身のバランスを同時に見ていきます。ふくらはぎや太もものこわばりに鍼でアプローチしつつ、お灸で下腹部や足首を温めて冷えを防ぎ、整体で骨盤や股関節の動きを調整する。当院ではこの三つを、その日の体の状態に合わせてオーダーメイドで組み合わせています。特に「痛みはないが重さが抜けない」という段階は、東洋医学が得意とする未病の領域です。パフォーマンスを落とさずシーズンを続けたい方にとって、コンディショニングとしての、高円寺で受けられるスポーツ鍼灸という選択肢を知っておいていただけると嬉しく思います。
この記事を書いた人

成谷茂樹(なりや しげき)
はり師・きゅう師・柔道整復師(いずれも国家資格)
はり処 悠禅 院長。自身も自律神経の乱れと不眠を鍼灸で改善した経験から、お一人おひとりに寄り添うオーダーメイド施術を行っています。
まとめ
9月は残暑と朝晩の冷えが同居し、自律神経に負担がかかる時期。マラソン練習やフットサル後のふくらはぎの張りは、冷やしすぎない・巡らせるクールダウンと、承山・三陰交などのセルフケアで軽減が期待できます。肝と腎をいたわり、脚だけでなく全身から疲労回復を図りましょう。
「休んでも脚の重さが抜けない」「大会前にコンディションを整えたい」という方は、まずはお気軽にご相談ください。はり処 悠禅はJR高円寺駅から徒歩1分、22時まで営業しているため、練習後や仕事帰りにもお立ち寄りいただけます。完全予約制・完全個室で、お一人おひとりの体と競技内容に合わせた施術をご提案します。杉並区で鍼灸院をお探しの方も、どうぞご遠慮なくお声がけください。



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